グミちゃんも4月からいよいよ小学生。
どんな学校生活を送っているのでしょう?
さあて今回のおてがみは?
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サンタさん、お元気ですか?
トナカイさんも元気ですか?
ひさしぶりにおてがみ書きます。
グミは4月から一年生になりました。
学校に行きだして二ヶ月ちょっとたちます。
最初はなれないのでドキドキしてたけど、だんだん落ち着いてきました。
きょうは学校のおはなしを書こうと思います。
グミの学校は「くすの木小学校」といいます。
グミはそこの一年二組で、みんなあわせると40人です。
家から歩いて20分ほどですが、一学期の間だけ、
五年か六年生のおにいさんやおねえさんが一緒に学校に行ってくれます。
でもうちは六年生のトシオにいちゃんがいるので、
いつもおにいちゃんに連れて行ってもらってます。
グミは朝の用意がすぐに出来ないので、
おにいちゃんはいっつも「早よせぇ!おいてくぞ」と怒ります。
おかあさんも、「グズグズしてんと早くしなさい」というのですが、
グミはなかなか出来ません。
顔を洗って、服を着替えて、それから朝ごはん食べて・・。
「まだ半分寝てるみたいやなあ、グミは」
っておとうさんに笑われながら、いつもぼーっとごはん食べてます。
おにいちゃんはさっさと用意してごはん食べて、
ほんとにえらいです。
グミも六年生になったらおにいちゃんみたいに出来るのかな。
ところで、グミの担任の先生のおはなしをするね。
山根先生といって、男の先生です。
年はいくつぐらいなのかなあ。
うちのおとうさんよりは若いみたいやけど、
坂本九ちゃんよりはおじさんです。
それでね、ちょっと変わった先生なん。
髪の毛が長めで、オールバックにしてるの。
顔は長くて、目が細くて、眉毛がおだんごみたいなの。
グミの家にはないけれど、おひなさまみたいな顔。
「ああいうのを上品なお顔、っていうんやで。
お公家さんみたいやろ」
っておかあさんはいうんだけど、グミはよくわかりません。

トシオにいちゃんは、昔ならったことがあるそうで、
「山根先生のあだ名は伯爵っていうねん」
って言うてました。
伯爵みたいなふんいきだからだそうです。
サンタさん、はくしゃくってなに?
山根先生はしゃべってもちょっと変わっています。
「みなさぁん。仲良くお勉強いたしましょうね〜」
って、毎朝あいさつするのです。
笑うときは、男の人なのに「おーほほほっ」って高い声を出して笑うし、
みんながうるさい時は、パンパンと手をたたいて、
「さあさあ。静かにするのですよ〜」
っていいます。
「そういうのを上品な人、って言うねんで」
っておかあさんは言うけど、グミはそんな人見たことないので、
最初は口をあんぐり開けて、ずーっと山根先生の顔ばっかり見てました。
そしたら先生に、
「青田さん?お口が開いてますよ〜」
って笑われました。おーほほほ、だって。
家に帰って、
「先生な、笑い方変やねん。おほほ、って言うねん」
ってまねをしたら、
「ええやないの。あんたみたいなガサツな子は、
そんな上品な先生に教えてもろたほうがええねん」
っておかあさんに言われました。
ちぇっ・・って思ってると、おとうさんが、
「おかあさんもその先生に習うといいのになあ」
だって。
「おとうさん!いらんこと言わんといてください!」
っておかあさに怒られてたけど。
おとうさんはいっつも変なこと言うては、おかあさんに怒られています。
山根先生の変なところは、それだけじゃありません。
音楽の時間に先生がオルガンを弾いてみんなで歌うのですが、
髪の毛を振り乱して、椅子に座ったまま後ろに倒れそうなほど
クネクネ踊るみたいに弾きます。
最初見たとき、先生どうしたんやろ?おなか痛いんかなあ、って
ごっつうびっくりしました。
トシオにいちゃんがおなか壊した時、
「いててて!」って暴れながらお便所に入った姿に似てたからです。
でも先生はクネクネ踊りながらも、急に笑顔になって、
「さあ!みなさん、一緒に歌いましょう!」と叫びました。
「咲いた〜咲いた〜 チューリップのは〜な〜が〜 ハイッ!!」
先生がまず歌いました。
でも・・なんか、お寺のぼんさんのお経みたいな変な声で、
グミはびっくりして歌えませんでした。
後ろにいた男の子が、
「八幡神社におる食用ガエルみたいやな」
って言ったので、みんなゲラゲラ笑いました。
でも先生は聞こえなかったのか、うっとりした顔で、
「ならんだ〜ならんだ〜 あ〜か、し〜ろ、きいろ〜♪」と歌います。
「さあ!チューリップを頭に浮かべて歌いましょうね。
かわいいチューリップ!赤、白、黄色、みんなどの色が好きかな?」
先生はみんなの顔を見ながら、にっこり笑いました。
「青田さん?何色のチューリップが好きかな?」
一番前にいたグミを見て、先生がそう聞くので、
グミはびっくりしてなにがなんだかわからず、
「・・・わかりません・・」
と答えました。
「チューリップ見たことないんやろ!」
って後ろの男の子が言うので、みんなドッと笑いました。
グミは悲しくなって、思わず涙がポトポトこぼれました。
「・・・だって・・・わからんのやもん・・
どの色も好きなんやもん・・・」
うつむいてそう言うと、山根先生はオルガンを弾きながら、
「そんな悲しい顔をしないで!さあにっこり笑って歌いましょう、青田さん!」
とまた髪を振り回しながら歌うのです。
グミは先生の食用ガエルみたいな声が怖いのと、
笑われたのが悲しくて、しくしく泣いてしまいました。
みんなも先生の歌にびっくりして固まっていたけれど、
先生だけがとっても楽しそうに歌っていました。
サンタさんにも先生の歌を聞かせてあげたいです。
きっと食用ガエルと間違えて、
トナカイさんが食べそうになるかもしれんね。
それじゃあ今日はこれで終わります。
また学校のおはなし、おてがみに書くから読んでね。
昭和36年6月20日
青田グミ